カウンセリングで「答えを出そう」としなくなったとき、見えてくるもの。
「どうしたらいいですか?」
カウンセリングでは、
とてもよく聞かれる言葉です。
仕事を辞めるべきか
続けるべきか。
結婚するべきか
別れるべきか。
転職するべきか
今の職場に残るべきか。
親との距離を
どうしたらいいのか。
人は悩みの中にいるとき、
何とかして答えを見つけようとします。
もちろん、
それは自然なことです。
苦しい状態が続けば、
一日でも早く楽になりたいと思いますし、
「正解」があれば
安心できるような気がします。
しかし、
相談室で
多くの方のお話を伺っていると、
ある共通点が見えてきます。
それは、
答えを必死に探しているときほど
苦しくなり、
少し答え探しから離れたときに
新しい景色が見えてくることが
あるということです。
本当に苦しいのは
「答えがないこと」
なのでしょうか
悩んでいるとき、
私たちは
答えがないことに
苦しんでいるように感じます。
しかし、
よくよく話を聞いていくと、
実は違うことも少なくありません。
例えば、
「失敗したくない。」
「後悔したくない。」
「間違った選択をしたくない。」
そんな思いが
強くなっていることがあります。
つまり、
本当に苦しいのは
答えが見つからないことではなく、
答えを間違えることへの
不安なのです。
だからこそ、
頭の中では
何度もシミュレーションが始まります。
こちらを選んだらどうなるだろう。
いや、
やっぱりあちらの方がいいかもしれない。
でも、
それで失敗したらどうしよう。
そんな考えがぐるぐると回り続けます。
そして気づけば、
考えることに疲れてしまいます。
真面目な人ほど
答え探しにはまりやすい。
これは決して
意志が弱いからではありません。
むしろ逆です。
責任感があり、
真面目で、
人に迷惑をかけたくないと思う人ほど、
答え探しにはまりやすい傾向があります。
なぜなら、
自分の選択に
責任を持とうとするからです。
しかし、
人生には
正解が後にならないと
分からない問題がたくさんあります。
転職もそうです。
結婚もそうです。
独立もそうです。
引っ越しもそうです。
未来を完全に
予測することはできません。
にもかかわらず、
「絶対に失敗しない答え」
を探そうとすると、
どの選択肢も怖く見えてしまうのです。
カウンセリングで起きること
カウンセリングは
答えを教える場所ではありません。
少なくとも私はそう考えています。
相談者の人生を生きるのは
私ではないからです。
その代わりに、
一緒に整理していきます。
何に悩んでいるのか。
何が怖いのか。
何を大切にしたいのか。
どんな人生を望んでいるのか。
そうした話を重ねていくうちに、
不思議なことが起きることがあります。
「本当は
もう気持ちは
決まっていたのかもしれません。」
「私は
失敗を恐れていただけ
なのかもしれません。」
「どちらを選んでも
不安なのだから、
自分で決めようと思います。」
そんな言葉が
自然と出てくることがあるのです。
答えをもらったわけではありません。
もともと
自分の中にあった気持ちに
気づいただけなのです。
答えよりも大切なもの
私は、
人生には
答えが一つではない問題が
たくさんあると思っています。
どちらを選んでもメリットがあります。
どちらを選んでもデメリットがあります。
だからこそ、
「正しい答えを探すこと」
よりも、
「自分が納得できる選択をすること」
の方が大切になることがあります。
選択した後に、
その選択を育てていく。
そのような考え方の方が、
結果的に
自分らしい人生につながることも
少なくありません。
公認心理師・津村健司
のひとこと
相談室で何度も見てきたのは、
答えを探している人ではなく、
自分の気持ちを探している人の姿でした。
答えが見つからないことが
苦しさなのではなく、
自分の声が聞こえなくなっていることが
苦しさだったのかもしれません。
少し立ち止まってみる。
急いで結論を出そうとしない。
そんな時間が、
自分自身の本当の気持ちに
気づくきっかけになることがあります。
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